今さら恋なんて…
cinq ~2人の真実~
バタン…
ドアの閉まった部屋の中で…龍哉はきつくあたしを抱きしめた。
一気に龍哉の香りに包まれて、止まっていた涙がまた流れ出す。
部屋の明かりも付けず、玄関の明かりの中だけでお互いの存在を確かめ合う様に抱きしめ合った。
「…司さん」
掬い上げる様にあたしの頬に触れ、
「もっと早く言えばよかった…俺は、貴方が好きです」
って囁いた龍哉の唇があたしの唇に降ってくる。
あたしも…自分の気持ち、言いたいのに…龍哉の唇があたしの唇を食む度、性懲りもなくピクン、って震える体を抱きしめられて、あたしの膝は言うことを聞かなくなっていく。
「…靴、脱いでください」
あたしの様子に気付いた龍哉に唇を食まれながらそう言われて、あたしは苦しい体制のまま、パンプスを脱いだ。
すると、龍哉はそのままあたしを抱き上げ、部屋に上がっていく。