ピアノソナタ〜私がピアノに触れたとき〜
まだ物足りないのか花音は笛吹くんの足にしがみつく。
っあ……
今になって気づくなんて
「……どーしよ、スリッパのことなんて考えてなかった」
花音の上履き 持って来るべきだった。
子供用のスリッパなんて、ここにはない
「オレがずっと、抱っこしとく」
「笛吹くん、疲れちゃうよ」
「待って、これは どーかしら」
と佐藤さんが出してくれたのは小花柄の小さなスリッパ。
「かわいい」
でも 違和感が…。
「痩せるの期待したけど全然、効果なかったわ!
ただ疲れるだけだった」
かかとがない、美脚になるスリッパ!
どーりで子供用にしては おかしい
って違和感があったんだ。
「バレエをやめたら足が太くなってきて」
「佐藤さん、バレーじゃなくて バレエ?」
「いろんな人に 突っ込まれるけどバレーじゃなくて バ・レ・エ!踊る方よ」
「「へえ〜」」
「そこの2人、その顔 何!」
「イメージと違うから」
「まあ、いいわ、
小さい頃から憧れてたわ…
チャイコフスキーの3大バレエ プリマ・バレリーナを夢見て、努力をして…
でも、どんなに努力をしても、どーにも ならなかった!
私は身長がありすぎてプリマ・バレリーナには なれなかった!
身長が低いコがうらやましい」
「どーして あたしを見るんですか!」
「うらやましくて」
「むしろ、あたしは佐藤さんのように背が高くなりたかったですぅ」
「神さまって いじわるね」
2人で深い ため息をした。
「花音ちゃん、良かったな。
佐藤さんがいいの貸してくれて」
「多少は歩きにくいけど大人用のスリッパよりは ましでしょ」
「助かりました。ありがとうございます」
「これ、かわいー」
花音も気に入ったみたい。
女の子らしくなってきて、かわいいアイテムに興味を持ち始めた。
今のコって おしゃれ。
「昨日と同じで図書室に行けば いいですか?」
「ええ、そーして」
「わかりました。
佐藤さん、花音をよろしくお願いします」
「任せて!」
佐藤さんに花音と うさぎのリュックを預かってもらった。
あたしは学習し、図書室に迷うことなく たどり着けた。
そして、昨日と同じ椅子に腰掛ける。
笛吹くんは お決まりの歴史コーナーに行く。
「妹ちゃん、良いコだね」
「うん、とっても いいコなの。
ってゆーか あたしがそうさせちゃたのかも」
「そうさせた…」
「あたしを困らせないように…
負担にならないように
って小さい体ながらも考えてて、悩んでて いつも元気いっぱいで振る舞っているの」
「…ふ〜ん」
「本当は もっともっと甘えたいはず。
花音が人懐っこいのは あたしに うまく甘えられないから、そのぶん 他の人に甘えてるだと思う」
「それは、青柳さんも同じ」
「えっ…」
「元気な顔をしてないと花音ちゃんが心配するから、いつも笑ってるんでしょ」
「………
そーなのかな、わかんないや」
そんなこと
意識なんてしたことない。
そのときの あたしは どんな表情だったんだろ…。
笛吹くんが本棚に隠れてて
あたしの顔を見られなくて良かった。
なんだか不思議
昨日、今日 話した笛吹くんと こんなこと話すなんて…。
「笛吹くん、歴史 好きなんだね」
「まあ、男なら大抵 歴史好きだし、今 三國志のアプリに はまってるだけ」
「ゲーマーだったんだ」
「ゲーマーってほどでもないけど暇潰しに…」
笛吹くんと話してたら
『ガラガラ…』
と図書室の扉が優しく開く。
来た!
きっと あの2人…。
「おはよー。今日も よろしくね」
「…おはようございます。
こちらこそ、よろしくお願いします」
きゃーー
来たーーー!!
っどきどきどきどき…
緊張するー!
どーしよう!!
と思っていても
会いたい!!
会いたかった!!
って気持ちの方が勝(まさ)ってるかも。
「今日も この席取った。
奏斗くんも早く座りなよ」
無言で昨日と同じ椅子に座る 奏斗さま。
「事務の佐藤さんが各自、自習を始めてってさ。
そうそう、子供の声がしたんだよ。
佐藤さんが子持ちなんて初めて知った」
シャーペンを走らせる右手がとまる。
佐藤さんの隠し子になってるけど
その子供
うちの妹です。
詩音くんも奏斗さまも
今日は眠りにつくことなく黙々と自習をする。
そして笛吹くんは分厚い書籍を持って来て あたしの前の席で愛読してる。
「ふあ〜、あきれたー」
長い沈黙を破るのは詩音くんだった。
「オレ、2時間半しか集中力がもたないんだ。
ねえ、話そうよ。
そーいえば名前、聞いてなかった。それから何年生?」
「……」
「ねえってば、そこの女の子!」
「あたしですか!」
「当たり前じゃん」
ひえ〜。
あと30分ぐらい我慢して〜。
「…青柳 琴羽です。1年です。
あの〜 詩音くん、あと残り30分だし がんばりましょうよ」
「人と話すときは目を見て話そうよ」
「えっ…」
確かに その通りで間違ってないけど
元は詩音くんがサボりだしたのが原因では…
なんか矛盾してる。
詩音くんの目を見るなんて…。
うつ向いてた視線を詩音くんへと…
!!!
目があった!
あの詩音くんと!!
すぐに視線を元に戻す。
どきどきどきどき
これは心臓に負担が…。
「琴羽ちゃん」
「はいっ!」
男子に名前で呼ばれるなんて もう何年もないから高い声で返事をしてしまった。
「音楽好き?」
「好きです…」
「どんなジャンルを聞く?」
「なんでも…」
「クラシックも?」
ひ〜
詩音くんに捕まっちゃった〜。
これは、もう逃げられない。
「…はい」
「マジで!?」
「両親が音楽…
特にクラシックを好んで聞いてるので小さい頃から馴染みがあります」
「クラシックの中でも 好きな時代、作曲家とかある?」
「ロマン派音楽のショパンが…
母がショパンってイケメンよねって好んでたので、そんな影響を受けて、あたしもお気に入りになりました」
「へぇ〜。
そんなクラシック好きの琴羽ちゃんに聞きたいけど、オレたちblessの音楽って どう?」
「初めて聞いたときは斬新で びっくりしました。
地面から突き上げるようなリズムとメロディーで
基礎が完璧に出来ているからこその演奏ですし、弦楽四重奏とシンセサイザーの組み合わせが、弦が鋭くしっかりしていて、弦楽四重奏としての力量がわかる演奏でした」
「いやぁ 照れるなぁ
そこまで誉められるとは…。
でも目を見て話してくれたら もっと心に響いたな。
なんで目を見てくれないの?」
「…それは」
詩音くんが美しすぎるから
なんて答えられない。
早く 12時になって〜。
心臓が ばくばくしすぎて
この時間が耐えられない。
「話変わるけど、怖い質問しちゃおうかな
blessの中で誰が好き?」
「えっ…
……リーダー」
「リーダーか、そっかリーダーかぁ。
そこはお世辞でオレって答えて欲しかったな」
「…すいません」
「いや、謝ることじゃないんだ。
リーダーは男が男に惚れるってゆーのかな。
男のオレから見ても超カッコいいし、わかる!
次に好きなのは?」
「ヴィオラの律輝(りっき)かな」
「律輝さんもカッコいいよな!
なるほど、琴羽ちゃんは大人が好きなんだね」
「そーですね、大人の魅力がたまらないです」
………
っなんだろ…
威圧感ってゆーのかな…
この何とも説明出来ない痛い視線は…
恐る恐る 視線を前に向けると…
!!
やばっ!
あたしがうるさいから向かい側に座ってる2人から にらまれてる〜。
「詩音くん、あと少しだし勉強しませんか?」
「もう、やる気が出ないから無理」
そんな〜。
「今度は琴羽ちゃんから何か質問ない?
blessとしてのオレでも いいし」
「え〜と」
やっぱり逃げられない。
「詩音くん家は箏の名家ですが どうしてアルパを始めたんですか?」
「それ、いくつものインタビューに答えてきた」
「すいません」
「いや、謝ることじゃないってば。
オレが話振ったんだし、
小さい頃、すっげー好きだった絵本に影響されてさ
オレも絵本の中の人魚みたいにハープを奏でたい!
って興味を持ち始めたのがきっかけだけど
オレも家族もハープとアルパの違いがわからなくて、たまたま手にしたのがアルパだっただけ」
「その絵本って人魚の涙ですか?」
「そう!あの絵本は名作だよな。
次の質問は?」
「え〜と、箏とアルパって やっぱり違いますか?」
「その質問も何度も答えてきた〜。
全然 違う、一番 違うのはアルパは指を使って弦を弾くってことかな。
まあ、そんなの誰が見たってわかるか。
次は?」
「え…
詩音くんは1年前にblessに新メンバーとして入りましたが最年少だし一回り以上 違うリーダーと話は合うんですか?」
「リーダー 大人だし 向こうがオレに合わせてくれてるから問題ない」
リーダーに合わせるんじゃなくて
リーダーが合わせてくれるって、それって ちょっとした問題なんじゃ。
「次、次の質問ちょーだい」
「う〜んと、新メンバーが加入するって噂がありますが本当ですか?」
っあ……
今になって気づくなんて
「……どーしよ、スリッパのことなんて考えてなかった」
花音の上履き 持って来るべきだった。
子供用のスリッパなんて、ここにはない
「オレがずっと、抱っこしとく」
「笛吹くん、疲れちゃうよ」
「待って、これは どーかしら」
と佐藤さんが出してくれたのは小花柄の小さなスリッパ。
「かわいい」
でも 違和感が…。
「痩せるの期待したけど全然、効果なかったわ!
ただ疲れるだけだった」
かかとがない、美脚になるスリッパ!
どーりで子供用にしては おかしい
って違和感があったんだ。
「バレエをやめたら足が太くなってきて」
「佐藤さん、バレーじゃなくて バレエ?」
「いろんな人に 突っ込まれるけどバレーじゃなくて バ・レ・エ!踊る方よ」
「「へえ〜」」
「そこの2人、その顔 何!」
「イメージと違うから」
「まあ、いいわ、
小さい頃から憧れてたわ…
チャイコフスキーの3大バレエ プリマ・バレリーナを夢見て、努力をして…
でも、どんなに努力をしても、どーにも ならなかった!
私は身長がありすぎてプリマ・バレリーナには なれなかった!
身長が低いコがうらやましい」
「どーして あたしを見るんですか!」
「うらやましくて」
「むしろ、あたしは佐藤さんのように背が高くなりたかったですぅ」
「神さまって いじわるね」
2人で深い ため息をした。
「花音ちゃん、良かったな。
佐藤さんがいいの貸してくれて」
「多少は歩きにくいけど大人用のスリッパよりは ましでしょ」
「助かりました。ありがとうございます」
「これ、かわいー」
花音も気に入ったみたい。
女の子らしくなってきて、かわいいアイテムに興味を持ち始めた。
今のコって おしゃれ。
「昨日と同じで図書室に行けば いいですか?」
「ええ、そーして」
「わかりました。
佐藤さん、花音をよろしくお願いします」
「任せて!」
佐藤さんに花音と うさぎのリュックを預かってもらった。
あたしは学習し、図書室に迷うことなく たどり着けた。
そして、昨日と同じ椅子に腰掛ける。
笛吹くんは お決まりの歴史コーナーに行く。
「妹ちゃん、良いコだね」
「うん、とっても いいコなの。
ってゆーか あたしがそうさせちゃたのかも」
「そうさせた…」
「あたしを困らせないように…
負担にならないように
って小さい体ながらも考えてて、悩んでて いつも元気いっぱいで振る舞っているの」
「…ふ〜ん」
「本当は もっともっと甘えたいはず。
花音が人懐っこいのは あたしに うまく甘えられないから、そのぶん 他の人に甘えてるだと思う」
「それは、青柳さんも同じ」
「えっ…」
「元気な顔をしてないと花音ちゃんが心配するから、いつも笑ってるんでしょ」
「………
そーなのかな、わかんないや」
そんなこと
意識なんてしたことない。
そのときの あたしは どんな表情だったんだろ…。
笛吹くんが本棚に隠れてて
あたしの顔を見られなくて良かった。
なんだか不思議
昨日、今日 話した笛吹くんと こんなこと話すなんて…。
「笛吹くん、歴史 好きなんだね」
「まあ、男なら大抵 歴史好きだし、今 三國志のアプリに はまってるだけ」
「ゲーマーだったんだ」
「ゲーマーってほどでもないけど暇潰しに…」
笛吹くんと話してたら
『ガラガラ…』
と図書室の扉が優しく開く。
来た!
きっと あの2人…。
「おはよー。今日も よろしくね」
「…おはようございます。
こちらこそ、よろしくお願いします」
きゃーー
来たーーー!!
っどきどきどきどき…
緊張するー!
どーしよう!!
と思っていても
会いたい!!
会いたかった!!
って気持ちの方が勝(まさ)ってるかも。
「今日も この席取った。
奏斗くんも早く座りなよ」
無言で昨日と同じ椅子に座る 奏斗さま。
「事務の佐藤さんが各自、自習を始めてってさ。
そうそう、子供の声がしたんだよ。
佐藤さんが子持ちなんて初めて知った」
シャーペンを走らせる右手がとまる。
佐藤さんの隠し子になってるけど
その子供
うちの妹です。
詩音くんも奏斗さまも
今日は眠りにつくことなく黙々と自習をする。
そして笛吹くんは分厚い書籍を持って来て あたしの前の席で愛読してる。
「ふあ〜、あきれたー」
長い沈黙を破るのは詩音くんだった。
「オレ、2時間半しか集中力がもたないんだ。
ねえ、話そうよ。
そーいえば名前、聞いてなかった。それから何年生?」
「……」
「ねえってば、そこの女の子!」
「あたしですか!」
「当たり前じゃん」
ひえ〜。
あと30分ぐらい我慢して〜。
「…青柳 琴羽です。1年です。
あの〜 詩音くん、あと残り30分だし がんばりましょうよ」
「人と話すときは目を見て話そうよ」
「えっ…」
確かに その通りで間違ってないけど
元は詩音くんがサボりだしたのが原因では…
なんか矛盾してる。
詩音くんの目を見るなんて…。
うつ向いてた視線を詩音くんへと…
!!!
目があった!
あの詩音くんと!!
すぐに視線を元に戻す。
どきどきどきどき
これは心臓に負担が…。
「琴羽ちゃん」
「はいっ!」
男子に名前で呼ばれるなんて もう何年もないから高い声で返事をしてしまった。
「音楽好き?」
「好きです…」
「どんなジャンルを聞く?」
「なんでも…」
「クラシックも?」
ひ〜
詩音くんに捕まっちゃった〜。
これは、もう逃げられない。
「…はい」
「マジで!?」
「両親が音楽…
特にクラシックを好んで聞いてるので小さい頃から馴染みがあります」
「クラシックの中でも 好きな時代、作曲家とかある?」
「ロマン派音楽のショパンが…
母がショパンってイケメンよねって好んでたので、そんな影響を受けて、あたしもお気に入りになりました」
「へぇ〜。
そんなクラシック好きの琴羽ちゃんに聞きたいけど、オレたちblessの音楽って どう?」
「初めて聞いたときは斬新で びっくりしました。
地面から突き上げるようなリズムとメロディーで
基礎が完璧に出来ているからこその演奏ですし、弦楽四重奏とシンセサイザーの組み合わせが、弦が鋭くしっかりしていて、弦楽四重奏としての力量がわかる演奏でした」
「いやぁ 照れるなぁ
そこまで誉められるとは…。
でも目を見て話してくれたら もっと心に響いたな。
なんで目を見てくれないの?」
「…それは」
詩音くんが美しすぎるから
なんて答えられない。
早く 12時になって〜。
心臓が ばくばくしすぎて
この時間が耐えられない。
「話変わるけど、怖い質問しちゃおうかな
blessの中で誰が好き?」
「えっ…
……リーダー」
「リーダーか、そっかリーダーかぁ。
そこはお世辞でオレって答えて欲しかったな」
「…すいません」
「いや、謝ることじゃないんだ。
リーダーは男が男に惚れるってゆーのかな。
男のオレから見ても超カッコいいし、わかる!
次に好きなのは?」
「ヴィオラの律輝(りっき)かな」
「律輝さんもカッコいいよな!
なるほど、琴羽ちゃんは大人が好きなんだね」
「そーですね、大人の魅力がたまらないです」
………
っなんだろ…
威圧感ってゆーのかな…
この何とも説明出来ない痛い視線は…
恐る恐る 視線を前に向けると…
!!
やばっ!
あたしがうるさいから向かい側に座ってる2人から にらまれてる〜。
「詩音くん、あと少しだし勉強しませんか?」
「もう、やる気が出ないから無理」
そんな〜。
「今度は琴羽ちゃんから何か質問ない?
blessとしてのオレでも いいし」
「え〜と」
やっぱり逃げられない。
「詩音くん家は箏の名家ですが どうしてアルパを始めたんですか?」
「それ、いくつものインタビューに答えてきた」
「すいません」
「いや、謝ることじゃないってば。
オレが話振ったんだし、
小さい頃、すっげー好きだった絵本に影響されてさ
オレも絵本の中の人魚みたいにハープを奏でたい!
って興味を持ち始めたのがきっかけだけど
オレも家族もハープとアルパの違いがわからなくて、たまたま手にしたのがアルパだっただけ」
「その絵本って人魚の涙ですか?」
「そう!あの絵本は名作だよな。
次の質問は?」
「え〜と、箏とアルパって やっぱり違いますか?」
「その質問も何度も答えてきた〜。
全然 違う、一番 違うのはアルパは指を使って弦を弾くってことかな。
まあ、そんなの誰が見たってわかるか。
次は?」
「え…
詩音くんは1年前にblessに新メンバーとして入りましたが最年少だし一回り以上 違うリーダーと話は合うんですか?」
「リーダー 大人だし 向こうがオレに合わせてくれてるから問題ない」
リーダーに合わせるんじゃなくて
リーダーが合わせてくれるって、それって ちょっとした問題なんじゃ。
「次、次の質問ちょーだい」
「う〜んと、新メンバーが加入するって噂がありますが本当ですか?」