クールな彼と放課後の恋
「じゃあ稲瀬くんの隣の席空いてるから、君はその席ね」


先生が転校生に指定した席は、稲瀬の隣。

転校生は嬉しそうにその席にドカッと雑に座り、体を稲瀬の方に向けた。


そしてHRが終わると…




「永井くんは、東京のどこから来たの?」

「連絡先教えて~」

「家どこー?」


転校生は女子たちに囲まれていて、質問責めになっていた。


しかも!

永井くんに近づくフリして、みんなちゃっかり稲瀬とも話そうとしてる感じ!



私はちょっとむくれながら、香穂ちゃんの元へ行く…






「次理科室だよー行こー香穂ちゃん」

「…陽葵ちゃん、顔顔!顔に気持ち出過ぎだよ!まあ、気持ちわかるけどね」


……。

香穂ちゃんて、結構スルドイ。






「だって~転校生のせいで、稲瀬に接近する子がいっぱい…」

「本当だね。永井くん…?だっけ?あの人何者?稲瀬くんとどんな関係?」


私と香穂ちゃんは、荷物を持って話しながら理科室へ向かう…




「あの転校生、明らかに稲瀬のこと知ってたよね?お互い顔見知りかな?」

「“大親友”とか言ってなかった?ってことは友達?」

「え、あんなやつと稲瀬が…!?私のすごい苦手なタイプ…」

「私も…。ああゆうチャラい人苦手。なんかジャマ者登場だね…」

「うん…」


私は重い返事をした。



こんな展開…思ってもいなかったよ。

稲瀬と話したいけど、周りにあれだけ女子がいたら話しかけられないよ…
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