クールな彼と放課後の恋
いつの間にか私のそばにいるし…!

こんなことして一体なんなの!!?




「…草むしりは俺がやる」

「え…なんで?」

「……その指じゃできないだろ」

「あ…」


軍手を持っていない方の手の指は、
さっきの体育で突き指をした手…

包帯巻いてあるの気づいてたの…?




「お前は水やりやって」

「え、でも…ぁ…」


稲瀬は手に軍手をしてしゃがみ込み、
花壇の雑草をむしり始めた。

お礼を言おうと思ったけど、
言うタイミングを逃してしまった…



「…ホース……水道に指してくる…」

「…うん」


私は物置からホースを出して、
中庭の水道に向かった。

そしてホースの先を蛇口にさして
突き指をした指に目をやる…





『…その指じゃできないだろ』



さっきあいつから言われた言葉が、
頭から離れない。




あいつ…

優しいとこもあるんだ…


初めて会った時は意地悪だったのに…



私は蛇口をひねり、稲瀬のいる裏庭に戻る。
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