クールな彼と放課後の恋
「な、永井っ!今私のこと呼び捨てにしたでしょっっ!」


“陽葵”って、確かに言った!!!



私は永井を指差して、ぷんぷん怒る。





「いーじゃん。香穂がお前のこと“陽葵、陽葵”って呼ぶから、移っちまったよ…」

「な、なにそれ…」


あんたが香穂ちゃんのこと呼び捨てにするのはまだわかるけど、私のこと呼び捨てにするのはどーなのよっ!?




「私のことも…さっきまで“笹山”って呼んでたのに…」

「え?そーなの?」


顔を赤くして言う、香穂ちゃん。



この短時間の間に、永井ってばめっちゃ図々しくなってない…?




「バカだな、お前っ!ちょっと来いよっ」


??


永井が香穂ちゃんの手を引いて端に寄り、ひそひそ話をし始めた。





「あーそっだったね~さっきお互いに下の名前で呼ぼうって決めたんだったね~」

「…?」


香穂ちゃんの様子がおかしい。

変な独り言みたいなことを、私に聞こえるように言ってるし…





「…ってことで、俺らはあっち座るから♪」



永井と香穂ちゃんは、そう言って6人乗りのジェットコースターの一番前の椅子に隣同士に座った。



なんか…

一気にあの2人ラブラブだなぁー


何気にお似合いだし…





ぎゅ









その時、横から誰かに手を握られた。

とっさに目をやると…





「い、稲瀬…」


手を握ってきたのは、稲瀬だった。

背筋がピンと張り、一気に体中に緊張が走る…





「どこ座る?」

「え、えっと…」


こわいこわいこわいこわい…


後ろにいる愛美ちゃんが、怖い顔してるのが目に見えるよ~





「あ、私は…この人と乗る約束したんだ!」

「おっと…」


稲瀬から手を離し、近くにいた稲瀬の男友達の手を引く私。

突然のことで、その男子もわけがわからない様子…



名前も知らないこの男子、悪いけど協力してもらうからね!
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