クールな彼と放課後の恋
裏庭に戻ると、
稲瀬は花壇のレンガに座っていた。




「…もう休憩?」


早すぎでしょ。


ホースのシャワーヘッドを持ち、
稲瀬に近づく私。




「…もう終わった」

「え!?はやっ……くない?」

「あんまり草なかった」

「そう…」


花壇を見ると、確かに雑草はもうない。




「じゃあ水やりしちゃうね」

「ん…」


私はシャワーのノズルを押して、
花に水をあげた。



花に水をあげるなんて…

小学生以来かも。




「…かけ過ぎ」

「えっ」


後ろで見ていた稲瀬が、
私の隣にやって来る。




「え…こんなもんじゃないの?」

「バカ。貸せ」

「!」


私の手からシャワー奪う稲瀬。




バカって………

やっぱりこいつムカつくかも。


拳をフルフルとにぎりしめる。





「もう終わるから水止めて来て」

「…わかった」


私はまた中庭に戻りホースの水を止めた。



なんか…

あいつのペースで進んでる?


私指図されてただけだよね…?

特になにもしてないし…


でもそれは…私が突き指してるから?



…………なんて、訳ないよね。
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