クールな彼と放課後の恋
2学期

悲劇

「では、2学期の委員会はこれで決めたいと思います」


新しい学級委員が教卓に出て、初々しい顔でそう言った。



夏休みが終わり、2学期が始まった。

今日のHRは、新しい委員会決め。





「やったね♪園芸委員になれた!」

「そうだな!」


私の近くの席から、そんな声が聞こえてくる。

新しく園芸委員になった、男女二人の声だ…二人はカップル。


2学期も稲瀬と園芸委員になれたらいいななんて思っていたけど…

現実はそんなに甘くなかった。


男女各1名ずつの委員会は、唯一園芸委員だけ。

だからか、クラスのカップルたちで園芸委員は取り合いになっていた。

みんなそれぞれの恋人と、同じ委員会になりたくて仕方がない様子。


今会話が聞こえてきたカップルは、そのなかでじゃんけんで勝ち抜いたビックカップルだった。





「では、さようなら。また明日ね~」

「「さようなら」」


帰りのHRが終わり、カバンに荷物を詰めていると、香穂が私の席にやって来る。






「帰りに駅前のカフェ行かない?永井くんがクーポン券持ってるから、ケーキが半額なんだって♪」

「行く行く♪永井がってことは…」

「もちろん稲瀬くんも!タブルデート」

「うん」

「がんばれ陽葵!」

「…う、うん」


ガッツポーズをする香穂。

2学期に入ると、私と香穂はお互い呼び捨てで呼び合うようになっていた。







「香穂ー藤川行くって?」




すると、永井が私の席に。

隣には稲瀬もいる。




う、稲瀬と目を合わせられない…

恥ずかしい…





「うん!」

「そっか~なら早く行こうぜ」


私たち4人は一緒に教室から出て、駅に向かった。






「でさ~あいつら…」



前に稲瀬と永井。

後ろに私と香穂が、それぞれ並んで歩く…




あの夏休みのデートから、稲瀬とは特になにも進展はなかった。
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