クールな彼と放課後の恋
「ごめんね、いっぱい買っちゃった…それにお米も…」

「いいって」


スーパーを出て、家に向かって稲瀬と歩く。

私たちは大量の荷物を抱えて、並んで歩いていた。






♪石焼き芋~お芋~ほっかほか~






目の前を、石焼き芋売りの軽トラが横切る。

髪を揺らす風や、空気は秋の香がしたような気がした…






「もう秋か…」


気がつくと、ふとそうつぶやいていた私…




「なに?…なんか浸ってんの?」

「そーじゃなくて…この前まで夏だったのに、なんかちょっと肌寒いしさ…」

「まあな。夏なんてあっという間に終わっちまうよ…」

「もう二学期だもんね」

「一学期が終わるのも早いよな。お前との委員会期間も一瞬だったな」

「…!」



稲瀬の言う通り。

本当に一瞬だった…







「お前、二学期は図書館委員だっけ?」

「あ、うん。香穂と…稲瀬は生活委員だよね?」


本当は稲瀬が生活委員になったって知ってるけど、なんとなく疑問系。






「あの委員会大変だったけど、俺は結構好きだったな」

「え…」


胸がきゅっとなる…

嬉しい…






「私も…」


素直な気持ちを言った。




委員会は好きだった。

毎日水やりをして、草取りもして…植え替えもしたりしたけど…

別に苦じゃなかったな…


稲瀬がいたから・・・







「ん…」

「え?」


私の持っている荷物を、ひょいと取り上げる稲瀬。






「いいって!もうすぐ家だし」
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