クールな彼と放課後の恋
ガコン


ぴっ

ウィーン…




稲瀬の家のマンションの、エレベーターに乗り込む私たち。

噂には聞いていたけど、稲瀬の自宅はすごいでかいマンションだった…



あれから警察や消防士からの事情聴取などで時間を取られ、やっと家の中に入るのを許可されたのは12時過ぎだった。

それから最低限の荷物を持ち、私たち4人は稲瀬のマンションにやって来た。


永井は急きょ、友達の家に行ってもらい帰宅した。

心配だからと言って山田さん夫妻が車で送ってくれたのだが、稲瀬の家のマンションはうちから車で10分程だった。





こんなにゴージャスマンションが、稲瀬の家だったなんて…

いや、前にちらっと自宅の場所を聞いてたから…なんとなくこのマンションの存在は知ってたけど…

中に入ってみると、思ったよりもすごいなぁ…


エレベーターもなんだか高級感を漂わせる感じだし、

エントランスもきれいだったし、それになんといってもオートロックだし!



稲瀬のお母さんて、すごいセレブ?なんだなー

海外に住んでるうえに、日本にはこんな立派な家を持ってるなんて…



エレベーターに乗りながら、そんなことはばかり考えてしまう私。





チーン…





エレベーターが稲瀬の家の階に着く。

私たちはぞろぞろとエレベーターを降りて、先頭を歩く稲瀬についていく。




静かだなぁ…この時間帯だから当たり前だけどね…

廊下広いな~

何もかもが広くて、きれい!




「ここ」



稲瀬が一番奥の部屋のドアの前で立ち止まり、ポケットから鍵を出した。

そして手馴れた手つきで鍵を開け、ドアをそっと開けた。





「…どーぞ」

「入れよ~靴は適当に脱いでー」


先に稲瀬と修くんが中に入り、家の中に入っていく。

私と日向はやや遠慮がちに玄関に足を踏み入れて、キョロキョロと辺りを見渡した。





玄関もひろ~

きれいにしてるし…




「…つっ立ってないで入れよ」


あ…



荷物を置いて戻って来た稲瀬が、私と日向を呆れながら見る。

私は靴を脱ぐ前にピンと背筋を立てて、日向の頭を後ろからグイッと押して、頭を下げさせる。そして…




「お世話になりますっ!」



深々と頭を下げた。
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