クールな彼と放課後の恋
「……!」


顔を上げると、稲瀬はキョトンとした顔をしていた。そしてすぐに、プッと吹き出した。





「お邪魔します!」


ちょっと恥ずかしくなりながら、靴を脱ぎ稲瀬の家に入る、私と日向。



長い廊下を歩いて行くと、広いリビングに出る。



リビングもすごくキレイだけど、なんか きれい過ぎるかな?


生活感がないというか…

まるで引越してきたばかりの部屋みたい…


でも、当たり前か。

稲瀬は4月にここに引っ越してきたばっかりで、すぐ私たちと同居しちゃったから…


この家に生活感がなくて、キレイ過ぎて当たり前なんだ…






「部屋はこっち。2人で同じ部屋の方がいい?それとも別々にする?」

「「一緒で」」


稲瀬からの問に、私と日向は同時に答える。




「んじゃ、一番奥の部屋で。あそこは広いし日当たりがいいから」

「ありがとう」

「ありがとございます」


またプッと笑う稲瀬に、私と日向はお礼を言った。

そして案内された部屋に入り、私は日向と荷物の整理をしていると…





「風呂空いたけど…どっちか先に入っちゃえば?」




髪が濡れた修くんが、私たちの部屋をのぞき込む。

いつの間にか、修くんはお風呂を済ませたみたいだ。





「稲瀬は?」

「最後でいいって」

「そう…じゃあ一緒に入ろうか?」


私は日向に目を向けた。

日向は「うん!」と言い、私たちはお風呂に入った。










「はぁ~サッパリ~」

「広くてきれいなバスルームだったね」


お風呂を済ませた私と日向は、髪をタオルで巻き、バスルームから出てリビングへ。

リビングには、稲瀬と修くんが床に手をついて何かやっているみたい…





「…何やってるの?」


私と日向は、2人に近づいた。





「床ふき」

「兄ちゃんの手伝い~」

「え?掃除!?」


稲瀬たちは、濡れ雑巾で床を拭いていた。




「どうして今やってるの?」


今、夜中の2時ですけど。




「客が来てるから、床が汚いのはやばいと思って…」

「え!そんなっ…いいのに!全然汚くないし…気になるなら私がやるよ!」
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