クールな彼と放課後の恋
「いい。もう終わったし、客に掃除やらせるわけにはいかない。俺風呂入ってくる」

「OK。片付けはやっとくよ」


修くんはそう言って、バケツや雑巾を片付けに行った。




なんか…稲瀬たちにすごく気を使わせちゃってるな…

掃除なんて、本当にいいのに…


でも逆に考えると、稲瀬たちも私の家にいたときは、毎日こんな気持ちだったのかも。

だから稲瀬はバイトしたり、私たちの重荷にならないようにしてくれてる。


その行為がずっとわからなかったけど、今はわかった気がするな…

他人同士が生活するって難しいね。





「日向ー俺の部屋でゲームやる?」


バケツを片付けた修くんが、日向に話しかけた。



「やるやる!その前に髪乾かして来ていい?ドライヤー私の部屋なんだ」

「俺ので良かったら貸すよ」

「本当?ありがと~」


日向は、修くんの部屋に入って行った。




思春期の男女が、部屋で2人きり・・・・

ちょっと心配になったが、私は自分の部屋に行きドライヤーで髪を乾かした。


髪を乾かしたあと、修くんの部屋から日向の笑い声が聞こえてきたりして…

ちょっと安心した。





コンコン







「もう寢る?」


雑誌を読んでいると、開いていたドアを稲瀬が叩いた。

お風呂上がりの稲瀬は、髪が少し濡れていてタオルを肩にかけていた。

私は雑誌を閉じて立ち上がり、稲瀬に近づく。




「どうしようかな…なんか眠れなくて」

「茶でも飲む?お袋がよく飲んでる紅茶があるんだけど」

「本当?じゃあ頂こうかな…」


温かいものが、ちょうど飲みたかったんだよね。


電気を消し部屋から出て、稲瀬とキッチンへ行く私。




「稲瀬はまだ寝ないの?」

「まあな。俺もなんかまだ眠くねえし…」

「そう…」


無理してないかな?

でも、私がそう聞いたとしてもきっと稲瀬は「大丈夫」って言うはず。




キッチンに着くと、稲瀬は棚からティーポットを出した。




「聡美さん、紅茶好きなの?」

「ああ。コーヒーよりも紅茶派かな…コーヒーはカフェオレしか飲めないんだよ。いい歳して」

「ハハ、女の人はそういう人多いんじゃない?」


私もコーヒーは砂糖とミルク入れるし、日向も同じ。

あ!でもお母さんはブラック派だ!

だけど、あの人は女捨ててるからなぁ(笑)





ガチャ




すると、修くんが枕を持って部屋から出てきた。




「どうしたの?」

「日向、ゲームやってたら俺のベットで寝ちゃった。今日は兄ちゃんの部屋のソファーで寝ていい?」

「…ああ」




修くんは「サンキュー」と言って、稲瀬の部屋のドアを開ける。
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