クールな彼と放課後の恋
自分から追い出した?くせに、すぐに稲瀬が恋しくなった。

なんて勝手なんだろう…

付き合うって…難しいよ。



その夜は、ずっとドキドキが止まらなかった。

早く朝にならないかなって…何度も思った…


結局ちゃんと熟睡することができず、いつもよりも早く起きて、濃すぎないメイクをして、髪の毛は寝癖を全てなくした。

だけど、その朝から…稲瀬が急変してしまったのだ…!




「…はよ」

「あ…おはよ」


起きて来た稲瀬は、いつものように私に近づいてきた。

きっとほっぺとかに、キスをしてくるんだと思っていたのに…





カタ…



「・・・・・」



稲瀬が近づいたのは、私ではなく冷蔵庫。

冷蔵庫を開けて、飲み物を取り出している。




あれ?

今日は朝のちゅーなし?


………まあ、そんな日もあるよね!



特に気にしないことにした私。

しかし…





「今日バイト休みだから、帰りに本屋寄っていい?」

「うん、いいよ」


学校へ登校中…

昨日までは手をつないできたり、近すぎるってほどくっついてきたのに…

今日は手を繋ぐこともなければ、稲瀬が私に近づいて来ない。



あれ?

昨日までのアレはなに?





そして、その夜。



「本読みたいから、今日は先に部屋行くわ。おやすみ」

「…おやすみ」


稲瀬はいつもよりもずっと早い時間に、自分の部屋に行ってしまった。

しかも、おやすみのキスもなし。


いや…

今日はまだ一度もキスしてない。





…どうして?



私の中に、不安がよぎる。



でも、今日はたまたまだよね?


うん、そうだよ。

そうに決まってる…



私は必死で、プラス思考に考えるしかなかった。


だけど、次の日もその次の日も…

稲瀬が私に触れることも、キスすることもなかった。









「ど、どうしたの陽葵!?」
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