クールな彼と放課後の恋
「なにがぁ?」


休み時間

自分の机の上でボケっとしていたら、香穂が私を見て驚いている。




「ひどい落ち込み顔…なにかあった?」

「ないよー。ないから悲しい…」

「え?」


そうですよ。

私は今、稲瀬となにもしてないんですよ。




「次体育だしサボらない?話聞くよ~私も話したいことあるし」

「か…香穂様~」


私はキラキラと眩しく見える香穂に、むぎゅーと抱きついた。

そして私たちは、人通りの少ない校舎の階段へ向かった。










「うーん…なんで稲瀬くんは、スキンシップが減ったのかな…」


早速、稲瀬のことを香穂に話した。

香穂は首を傾げる。





「わかんない…私なにかしちゃったのかな…」

「心当たりないの?」

「う、ん…ないんだよね」


ちゃんと考えてみても、やっぱりないよな…





「じゃあ自分からやってみれば?」

「はい?」

「だから、自分からキスするの♪」

「なっ…無理だよ!」


向こうからされて精一杯なのに、自分からなんてできない!





「だって~キスしたいんでしょ?」




香穂の言葉に、一瞬止まる。





「そ、そういうわけじゃ…」


ないと思うけど。





「違うの?私にはそう聞こえるけどな♪」

「楽しそうだね…」

「ふふ♬」


これは、完全に面白がってる…





「したいというかね…今までしてきたのに、急にしてこなくなるのはなんなのかなって…ちょっと不安になったんだよね」

「!」


私は本当の気持ちを、香穂に話した。





「キスとかされると、すっごい恥ずかしくて本当やめてーとか思うんだけど…されなくなると寂しく感じるの…今思えば、あっちから私に触れてくれることが、私にとっての安心感なんだよね。言葉で好きって言ってるわけじゃないけど、好きって言われてるみたいな」
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