クールな彼と放課後の恋
「…話して」

「・・・・」


もう逃げられない。

私は覚悟を決めた…





「さ…寂しかったの……」

「え?」

「最近…稲瀬がその…あんまり…えっと・・・・」

「何?」

「ふ、ふれ…」

「あ?」

「…触れてくれないから!」


言ってしまった…


ちらっと稲瀬を見ると、ちょとんとした顔をしている。



こんなこと言われて、稲瀬はどう思ったかなぁ…

めんどくさいとか思われたかな。





「…ぷ」

「え!?」


しばらく沈黙が続いたあと、稲瀬は吹き出して笑う。



わ、笑われた!?





「触れてくれないって…お前…」

「わ、笑うなんてひどい!私は真剣に悩んでたんだからね!!キスだって…」



…あ。

思わずキスのこと言っちゃったよ…





「あーそのことか…」


稲瀬は私から目をそらし、ポリポリと頬をかいていた。

その行為が私にはよくわからなかったが、稲瀬はすぐに口を開いた。







「…あれはお前が変なこと言うからだ」

「私が?」


自分の顔を指で指し、首を傾げた。



私なんか言ったっけ…?

最近の出来事を、頭の中で隅から隅まで思い出してみたけど…全く心当たりはない。






「お前…この前言っただろ……俺のキスがどーのこーのって…」
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