クールな彼と放課後の恋
永井から目をそらし、信号待ちをしている悠に目を付ける。

悠はポケットにてを入れて、私を真っ直ぐ見つめていた。



私は悠から目をそらして、気まずそうに自分の足元を見つめた。

一人でどこかに行こうと思ってたのに、もう悠に見つかった…


カッコ悪…



見つけたのがお母さんだったらすぐに逃げるところだけど、悠だったら逃げられない前に逃げたくない自分がいる。

悔しいけど…追っかけてきてくれてことが嬉しいもん…




タンタンタン…タン…





下を向いていると、足音がどんどんこっちに近づいてくるのがわかる。

そしてその足音は、私の近くで止まった…



しばらくうつむいたあと、恐る恐る悠の方に目をやると、悠は今にも笑い出しそうな顔をして私を見下ろしていた。




「…………ぷ、ハハ」

「なっ、なんで笑うの!?」


そして、こらえきれず笑い出した悠。

気まずかった雰囲気は一気に消え、いつもの私と悠の空気になる。





「いや…まさか家を飛び出してくとは思ってなかったから」

「……」


私だって、そう思います。






ぎゅ




すると悠は、スッと自然に私の手を握り、歩きだそうとする。






「嫌だ!私帰らないからねっ」


まるで、子供のように駄々を捏ねる私。





「…わかってるよ。ちょっと散歩しよう…お前の頭が冷えるまで」

「………一生冷えないよ」


私の言葉に悠はふんと鼻で笑ったあと、駅とは反対方向にゆっくりと歩き出した。


悠と散歩できるのは嬉しいけど、お母さんから言われたことがあるので、思いっきりはしゃげない。

だからとても複雑な気持ちのまま、悠の手の体温を感じながら歩いていた。



このまま2人で、どこか遠くに行ってしまいたい…


そんな気分だった。







「ほら、飲みな」

「ありがとう…」
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