クールな彼と放課後の恋
うぅ、寒い…


急に吹いた風がすごく冷たくて、ブルブルと震えてしまった。

今の私の格好は、黒と白のボーダーのトップスに膝上までの丈のデニムのスカートに、大きめのニットを着て、黒のムートンを履いている。


なんにも考えないで家を飛び出したから、ちょっと薄着で来ちゃった…





「ほら…」

「え…」


すると、悠が自分の首にしていたマフラーを外し、私に差し出してくれた。





「いいよ!悠だって寒いのに…」

「寒くねえよ、少なくともお前よりは」


確かにそうだ。

私みたいに何も考えずに家を飛び出してない悠は、黒のダウンジャケットを着ていて防寒はばっちり。




「ありがとう…すみません」


何から何まで本当に。


私は悠からマフラーを受け取り、首にまいた。

マフラーは悠の匂いがして、すごく落ち着いた気持になる。







ぎゅ




「……!」


後ろから悠に抱きしめられる。


いつの間に私の後ろに来たのか分からなかったが、悠は私の乗っているパンダの遊具の後ろ半分にまたがり座った。

缶コーヒーは足元に置き、後ろから抱きしめながら私の頭の上にあごを乗せる悠。



小さなパンダの遊具の上で、幸福に包まれる…

これで、お母さんのあの一言がなかったら、最高の1日になるのにな…






「…それで?どうするんだ?」


悠の言葉に、ピクリと反応する私。




「どうするって…」

「お前は親が言った通り、東京に引っ越すの?」


私は抱きしめている悠の手をほどき、後ろを振り返った。




「引っ越すわけない!東京なんか行かないっ!だって…悠と離れたく…ないもん…今まで一緒だったのに・・・離れるなんて無理…」


だんだん弱くなっていく口調と、沈んでいく表情。






「なら、それを親に伝えてみれば?」

「そうだけど…きっと聞いてくれないよ。さっきの口調だと、もう決定みたいなこと言ってたし…」
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