クールな彼と放課後の恋
私たちの意見なんて、無視されそう。





「俺は言うつもりだよ」


悠はジャケットのポケットに手を入れて、余裕の表情をする。




「聡美さんに…?」

「そ。『俺はパリに行かない』ってちゃんと言う」

「…!」


悠の言葉が胸に刺さった。




「俺はパリになんて、今更行くつもりない。こっちの友達がいるし、それにお前もいるから」

「悠…」

「お袋が納得するまで、とことん話すよ。わかってくれるまで、たとえ喧嘩になったとしても、お前と離れたくないから」


私の頭をぽんと撫でる悠。




「お前も自分の気持ちを話してみれば?ちゃんと話せば聞いてくれるって」

「うん…」


大丈夫かなぁ。

自信ないよ…なんせうちの親は、あんな感じだしなぁ。




「お前が言ってもわかってくれなかったら、俺が言ってやる」

「え…」


悠が?



「俺も一緒だから、大丈夫だよ。そんなに心配すんな」

「…うん」


悠の顔は、すごく頼もしかった。





「ありがとう、悠…ごめんね。家を飛び出したりして。私らしくないよね」


謝りながら悠の手を握る。





「謝んなよ…」

「うん、ごめん」

「だから…」

「あっ…ごめん」

「ハハ」


悠が私のそばで笑ってくれてるだけで、すごく安心する。

また涙が出た…


でもこれは、悲しい涙じゃないよ…









ガチャ



「ただいま…」


日も暮れて、晩御飯時の時間…

私は悠に連れられて、渋々帰宅した。


本当はまだ帰る気になれなかったんだけど、やや強引に悠に連れてこられた感じ…






「お姉ちゃん!」

「兄ちゃん!」
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