クールな彼と放課後の恋
玄関に入ると、日向と修くんが心配そうに駆け寄って来る。




「どこ行ってたの…?」

「…ちょっとね」


日向の言葉に、ちょっと冷たく答えてしまう…

お姉ちゃんのくせに飛び出したりして、カッコ悪いな私…




「陽葵ちゃん…」

「あ…」


すると、聡美さんがリビングから小走りでやって来た。




「良かった…心配したのよ…」

「ごめんなさい…」



皆に心配かけてたんだ…

悠が探しに来てくれなかったら、もっと心配させてたかも。

私の性格からして、1人だったら帰る気にならないと思うし。





「…とりあえず中に入って温まって。外は寒かったでしょ?」

「はい…」


玄関から皆でぞろぞろとリビングへ向かい、最後に入ったのは私…

ソファーに座ってテレビを観ているお母さんは、私の方をチラッと見たあと、またテレビに目を向けた。

私はそんなお母さんに近づき、勇気を出して口を開いた。







「勝手に家を飛び出てごめんなさい…突然あんなこと言われて、頭に血が上って…」

「…」


お母さんは何も言わない。




「私は東京には行かないよ。お母さんと離れてるのは寂しい時もあるけど、今の暮らしが気に入ってるから…それに……」


正直迷った…

でも、もういいや。





「あ、私っ…悠のことが好きなのっ!だから…悠と離れたく…ない…」



言ってしまった…


お母さんはうるさそうだから、しばらくは黙っておきたかったけど…

でも、もう言うしかない。

ちゃんと自分の気持ち伝えなくちゃ…







「…ぷ」





え?








「ぷ…あはははははははは!」


突然、大口をあけて笑い始めるお母さん。




な、なに?

何がおかしいの…?






「多香子ちゃん…もうその辺にしといてあげなさいよ」


聡美さんが、笑うお母さんに近づく。
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