クールな彼と放課後の恋
ドキドキして、外が寒いこともいつの間にか忘れていた。

悠に手を引かれて、思わぬ突然のデート。

家を飛び出して…ちょっと良かったかも…?








がやがや



「あのさ…これってちょっとおかしくね?」

「そ、そおかな?」


悠と私は駅前のファーストフード店にやって来て、夕食を食べていた。

テーブル席に向かい合わせに座るのではなく、4人がけの席に私と悠は隣同士で座っている状態。ハンバーガーを頬張りながらそれを悠は指摘して、ポテトを食べていた私は恥ずかしそうに俯いた。



普段あんまりこういうところ来ないから、恥ずかしくて向かい合わせなんて座れないよ…

食べてるところとか、家以外のところで見られなくないし…





「今日はどうすんの?このまま帰らないつもり?」


悠の言葉に、体がピクリと反応する。




「帰りたくないわけじゃないんだけど…なんか、今日帰ったら負けた気がする」

「ハハ、その気持ちはわからなくないな」

「お母さんたら…あんな嘘ついてひどいよね。私の行動見て、完全におもしろがってたし…」


あの笑ったお母さんの顔が、頭に焼き付いてムカムカして来る。





「まあな。俺も半信半疑で、半分は嘘なんじゃないかなって思ってたよ。確証はなかったけど」

「…そうなの?」


私はこんなオチだなんて、1ミリも予想してなかった…だからこそ、ムカつくんだよね。





「なんとなくな。でも…半分はもしかしたら本当なんじゃないかなって思ってたから、ちょっと焦った…変な話、友達は離れてたってなんとかなるけど…お前と離れるのは…今の俺にとっては結構キツイから…」


がやがやと騒がしい店内で、悠の声はハッキリと聞こえて…顔が真っ赤になる。

恥ずかし過ぎて、ポテトを食べている手が止まる。




嬉しい…嬉しすぎる…

私幸せものだよね…

こんな展開贅沢過ぎるよ…






「あっ…私もだよ…」


ポテトが入っている箱を置き、俯きながら口を開いた。
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