クールな彼と放課後の恋
「さっきは目立ってたな」



フッと鼻で笑い、私に背を向ける稲瀬。



ちょっとムカつくけど…

なんか一言言いたいけど、
それよりもっと言いたいことがあるんだよ!



私はデッサンを提出箱に雑に入れ、
稲瀬を追いかけた。





「稲瀬っ……」

「・・・・」


稲瀬を呼んでも、
こっちを振り向いてくれない。



無視…?





「稲瀬くん?」


もう一度呼んでもこっちを見てくれない。

よく見ると、稲瀬は耳にイヤホンをしてた。




「稲瀬くん………ってば!」


グイ


私は稲瀬の腕を掴んで軽く引っ張った。

すると稲瀬は、少し驚いた顔をして振り返る…



「…なんだよ?」

「あ…ご、ごめん」


掴んでいた稲瀬の腕をパッと離す。



腕…すごい硬かった…




「どうした?」

「あ……」


耳からイヤホンを外し、
私に近づいて来る稲瀬。
< 24 / 246 >

この作品をシェア

pagetop