クールな彼と放課後の恋
私は黒板に縦書きに書かれた、それぞれの委員会を一つ一つ見ていた。



今度は何やろうかな…

また香穂と生活委員やろうかな?でも、香穂は永井と同じやつやるのかな?

朝、聞いとけば良かった…




「それでは、まず体育委員から。やりたい人は立候補してください」

「ちょっと待って」


委員長が委員会決めを始めようとした時、横から担任の先生が割って入った。生徒達は一瞬で先生に注目して、教室がしーんとなる。




「途中で止めてごめんなさいね。でも最 初に、先生からある委員会に立候補したい人がいるの」


先生のその言葉に教室がざわつく。

私も不思議に思いながら、先生の次の言葉に注目した。





「3学期の園芸委員を…稲瀬くんと藤川さんにやってもらいたいんです」




は!!!?







その言葉にまた教室がざわつくと同時に、生徒達が一気に私と悠に注目する。




な、なななんで私と悠が、先生から立候補されんの!?

こういう目立ち方って、すっごく苦手なんですけど…




「皆さんの中にも知っている人もいると思うけど、この学校は植物を大切にしているの。校庭の桜や木…中庭の花…そして、裏庭の花壇…私たちのクラスの園芸委員は、裏庭を担当しているんだけど…どうも2学期の園芸委員は草木を大切にしてくれなかったのよね」


怖い顔をする先生に、生徒達はゴクリと息を飲んでいるようだった。





「2学期の園芸委員だった山田くんと林さんカップルいたじゃん?あの2人、2学期の途中で別れたらしいよー」

「マジ?だから委員会の仕事サボりがちになって、先生がよく怒ってたんだね」


近くの席の女子の会話が耳に入り、心の中で「なるほど」と一人で納得する私。

あのカップル別れたんだ…顔合わせたくないから、委員会の仕事もおろそかになってたってわけだね。そんなこと、先生が許す
わけないよ…





「稲瀬くんと藤川さんは、1学期に園芸委員でした。2人は一生懸命花壇の世話をしてくれたので、先生から3学期の園芸委員に立候補したいのですが…どうですか?」


先生が私と悠を見た。





「えっ……あの!あの…」

「いいです…」


あたふたしていると、悠は冷静に一言そう言った。私もすぐに「わ、私も…」と言うと、生徒達に笑われた。




は、恥ずかしい…

だから、こういうの苦手なんだってば!




「良かったわ、ありがとう!2人共、3学期の園芸委員は任せましたよ。皆さん、稲瀬くんと藤川さんに拍手を!」





パチパチパチパチ…
< 243 / 246 >

この作品をシェア

pagetop