クールな彼と放課後の恋
「違います先生!私もちゃんと花壇に行って水やりやってました!ただ、稲瀬くんと入れ替わりになっちゃってて…私も水………っ」


稲瀬が私の手首を掴み私の声を止める。



あ、そっか。

入れ替わりで2回水やりしてたこと言ったら、先生に『やり過ぎ』って注意されちゃうか。




「藤川はちゃんと来てました。ただ突き指してたから俺が帰したんです」


稲瀬はそう言って、
私の手首を掴んでいた手をそっと離した。



突き指はもうとっくに包帯が取れてるのに…

私のことかばってくれてるんだ…




「あ、そう、ならごめんなさい…私の勘違いだったみたいね」


先生は私に頭を下げた。




「稲瀬くんが藤川さんのケガを気遣って帰したのはえらいと思うわ。でもこれからは、なるべく二人揃って委員会の仕事をして欲しいのよ」


先生は続ける。




「園芸委員会は二人なんだし…できれば二人の力を合わせて仕事をやるべきなんじゃないかしら?花に水をやる簡単な作業でも、二人でやればもっと簡単になるんだし」


この先生…すごく真面目なんだな……




「てゆうか私からすれば、委員会はあんた達なんだからちゃんと二人でやれよって感じだけど」



先生はまた怖い顔をする。

やっぱりこの先生ヤバイ…



「先生はあなた達のどちらかが仕事をしてるのを見るより、二人で仕事をしてるのを見たいわね。だってそれが委員会じゃない?」

「……はい」


確かにそうですが…



「この前も言ったけど、校長は学校の園芸にうるさいから…私のためだと思ってよろしくね…花壇が汚くなってたら私が怒られるんだからね♥」


うっ……

笑顔が怖。
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