クールな彼と放課後の恋
それを確認すると、
私は急いで靴を履き替えて猛ダッシュで裏庭へ…



稲瀬…

もう帰っちゃったかな……




高校生になってからこんなに全速力で走ったことなんてなかった…

それくらい、走った。




「ハァ…ハァハァ…」


裏庭へ行くと、稲瀬が背を向けて花壇に座っているのが見えた。

私はそんな稲瀬にそっと近づいた…




「稲瀬くん」


私が近づくと、本を読んでいた稲瀬が私に気づく。




「帰ってなかったんだ…」

「…二人でやれって言われたじゃん」

「・・・・・」


あ、そっか…

それ守ってくれたんだ…




「ごめんね」

「忘れ物はあった?」

「…まあ、ね」

「・・・・」


稲瀬から目をそらす。




「本当ごめん!今度なんかおごるよ」


稲瀬から離れ物置からホースを出す。

そして軽く草取りをしたあと、水やりをさっと終わらせた。




「雑草捨ててくるね」

「うん…」


バケツに入った雑草をゴミ袋に入れて縛る。




「なあ」

「んー?」


ゴミ袋を近くにあるごみ捨て場に置きながら、稲瀬の方を見る。



「朝…何時に来れる?」

「え…」

「朝の水やり…」

「ああ、そっか…」


二人でやるんだったよね。




「何時でも…稲瀬に合わせるよ」


う…

こんなセリフなんか恥ずかし…




「じゃあ…8時10分にここ(裏庭)でいい?」

「うん、わかった」
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