クールな彼と放課後の恋

心の鍵

がやがや


昼休み、いつものように友達グループたちと教室で昼食をとっていた。


あれから一ヶ月。

体育祭も終わり、今は5月の半ば…急に暑くなり、教室にいても少し体が汗ばむ。




「ねえ、見て~笹山(ささやま)さん、また一人でいるよ」




すると、友達の一人が教室の隅にいる女子生徒を見て、ヒソヒソと話始めた。





「いつも一人でいるよね~暗ーい…」

「しかもスマホばっか見てるし、スマホが友達?」

「アハハ♪あんなやつ眼中ないし~」


私以外の友達は、ゲラゲラと笑った。



最近、人の悪口多いなぁ…

眼中にないなら、頬っておけばいいのに…


笹山さんおとなしそうだけど、かわいいし癒し系っぽくてモテそうだから、ひがんでるのかな…?









「……あ」


その日の放課後

HRが終わり裏庭に行くと、稲瀬が花壇に座って漫画を読んでいるのが見えた。




「…お待たせ」

「よう…」


私に気づくと、稲瀬は漫画をしまい、ランチバックを私に差し出した。





「今日もごちそうさん」

「うん…」


稲瀬から、空になったお弁当箱を受け取る。



初めて稲瀬にお弁当を渡したあの日から、毎日稲瀬にお弁当を作っていた。

正確にいえば、初めて渡した次の日は、照れくさくて渡さなかった。


しかし稲瀬は、てっきり次の日も作ってくれると思ったらしく…

その日のお昼を用意してこなかったのだ。
< 72 / 246 >

この作品をシェア

pagetop