クールな彼と放課後の恋
「うん…えっ!?」


カバンの中を手であさりながら、稲瀬の言うことを聞き流していた私は、ハッと気がついた。






「ご、ごめん。ちゃんと聞いてなかった…」

「どうした?」


不思議そうな顔をして、私に近寄って来る稲瀬。




「鍵につけてたマスコットが見当たらなくて…」

「マスコット?鍵は?」

「鍵はあるんだけど、ヅラにゃんこのマスコットが見当たらないの…」

「出た(汗)」


“ヅラにゃんこ”という名前が出て、呆れた顔をする稲瀬。





「さ、最近買ったやつだから、気に入ってるのっ」

「ロッカーは?」

「そっか、ロッカー!…いや、ロッカーあんまり使ってないや。でも一応見てみよ」


私は席から離れて、ロッカーを見に行った。

しかし、ロッカーの中にマスコットはなかった…





「…なくしたんだな」


私の席から、ロッカーにいる私を見て、ボソッと言う稲瀬。





「ショック…(汗)あれ、本当に気に入ってたのに…」

「また買えよ」

「そういう問題じゃなくて…」

「いいから、早く帰って飯食いたい。今日ハンバーグにして」

「うん…って、え!?今日来るの!?」

「…さっき言っただろ」









帰り道



「あ~なんで落としたんだろー」

「ドジだからだろ」

「…ムっ」


電車を降りて、スーパーで買い物を済ませたあと、稲瀬と家に向かっている。




「くだらねえキャラのことなんか忘れろ。それより、今日米多めに炊いてくんね?」

「…食うことしか頭にないの?(汗)」

「しょうがねえだろ。毎日、お前が作った夕飯食えるわけじゃねえんだから」






それって…

私の作った料理が、美味しいってことかな…


だとしたら、嬉しい…
< 87 / 246 >

この作品をシェア

pagetop