クールな彼と放課後の恋
もしかして、もう壊したの!?




「ちょっと見せて」

「カバンの外ポケットに入ってる…」


私は稲瀬に自分の扇風機を渡した。

そして稲瀬のカバンの外ポケットから、稲瀬の青い扇風機を出した。




カチ

カチカチ


扇風機のスイッチを入れてみると、稲瀬の言うように羽は回らない…




「ちょっと私の貸して」

「えー」

「いいから、貸しなさい(汗)」


私の扇風機から電池を抜き取り、稲瀬の扇風機に入れ換えた。

そして、扇風機のスイッチを入れる…




ブオオオオオーン



「やっぱり…」


扇風機の羽は、問題なく動き始める。




「電池なかったんだね」

「…」


すると、稲瀬が私に近づいてくる…そして…




「…ありがとう」

「ちょっとー!(汗)」


電池を入れ換えた、自分の青い扇風機で、稲瀬は涼み始めた。

私は「電池泥棒!」と言って、稲瀬の腕を叩いた。







『次は~A川ー、A川ー』


その日の帰り

委員会を終えた私と稲瀬は、いつものように電車に揺られていた。




「はあ、涼しい…」

「本当にな」


電車の中のクーラーに当たり、くつろぐ私と稲瀬。

稲瀬に至っては、プラスミニ扇風機も顔に当てている…




ちゃっかり、私の電池使ってるし…

ま、いいけどさ…






っ!


その時…また視線を感じる。


私はとっさに、視線を感じた方に目をやった。

しかし、そこには誰もいない…
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