クールな彼と放課後の恋
「……ううん、いいの…///」


きれいなその稲瀬の顔を、まとも見られず、私はそらしてしまった…




キーンコーン

カーンコーン





その時、一時間目が終わるチャイムが鳴った。

私は稲瀬から手を離し、ティッシュや絆創膏のゴミを片付ける。




「あっちー」

「ジュース買いに行こうぜ」


クラスメイトたちが、体育から戻ってくる。





「ありがと」

「うん…絆創膏に血しみてきたら言って。かえたほうがいいから」

「うん」


ドキドキする気持ちを押さえ、普通に稲瀬に接しながら、ポーチのチャックをしめた。




あ…!


すると、笹山さんが教室に入ってくるのが見えた。



「ちょっと行ってくる!」

「…ん」


私は席につく笹山さんに、後ろから近づいた。





「おはよ!」

「わ!」


笹山さんの肩を、後ろからポンと叩くと、笹山さんはびっくりしていた。





「ごめん…驚かしちゃった?」

「陽葵ちゃんか~ううん、大丈夫!おはよう!!」


笹山さんは、すぐ笑顔になった。




「朝いなかったから、今日休みかと思ってた~」

「実はね、1時間サボってこれ買ってたの♪香穂ちゃんにプレゼント!」

「えっ…」


私は、さっき本屋さんで買ったものを、香穂ちゃんに差し出した。




「こ、これ…」

「マスコット拾ってくれたお礼!香穂ちゃんも、ヅラにゃんこ好きだって言ってたから」

「嬉しい♪!!これイヤホンジャックでしょ!?」

「そうなの!私もそれと同じの持ってるから、オソロ♪」


私が本屋さんで買ったのは、以前稲瀬が私にくれた、ヅラにゃんこのイヤホンジャックだった。





「すっごく嬉しい!ありがとう、陽葵ちゃんっ」

「どうしたしまして!」

「つけよ~」


香穂ちゃんは自分のスマホを出して、早速そのイヤホンジャックをつけてくれた。
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