貴方のお願い叶えます。
訳が解らない。



分からず屋じゃなくて、言うならば叶え屋なのに。


永く生きると人でもわかる人の気持ちまでも解らなくなってしまう。


それが今なのかもしれない。


あの子は解ってない。


身内がいることの幸せを。


解らせてあげたい。


けれどそんな魔法は知らない。




「ファイン、何処に行くの…」




本当はずっとここに。


ずーと、ずーっとここに居て欲しい。


けれど、けれど私は………。


私の寿命は………。




「独りにしないで…誰も私を置いていかないで…」




死にたいのに死にたいのに何故私は寿命を求め続けるの。


何故私は生き続けるの。




「ファル…………」




半開きになっていた扉から顔を覗かせたファイン。


何でここに…。




「僕、帰る家なんてないんだ。だから…何処にも行けなくて」



帰る家がない、初めて聞いた。


そう言えば、ファインのことを聞いたことが全然ない。


なら、いつも何処に帰っているんだ。




「いつも、どこに?食事は?家族は?」


「適当な納屋で寝て…ここでの食事以外は食べてなくて…家族は物心着いた頃にはもういなくて……」




バカだ。


私はバカだ。


ファインは骨のように細い。


そんなのは前から知っていた。


なのに気にもかけていなかった。


じゃぁ、腕や足の傷、打撲傷は何だ?


親からの虐待でも友人からの虐めでもないよう。


なら、




「その傷はなんなんだ?」
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