春川家の5兄妹
誰もいない屋上だった
当たり前だけど……
立ち入り禁止を無視して入ってきた
振り返らずにハルトさんに
「何で、きたんですか?
私を助けて成績でも上がると思ったんですか?
ただの情ですか?
正義の味方気取りですか?
そういうの、いりません
昨日も言ったように
私は一人で戦ってきた。
これからも一人で大丈夫です。」
そう言い睨むとハルトさんは、
私の肩を抱き震えながら言った
「もう、凪が気付くのは見たくないんだ、
一人でも大丈夫何て…
言うなよ……
少なからず、お兄さんと弟さんには世話になってるだろ?
俺は……………………
俺は!!
凪の兄貴になりたいわけじゃないんだ………………
お前が好きだ」
「…ッ!!」
驚きのあまり言葉が出てこず、
ただハルトさんを見て無意識のうちに
「わ…私は笑いませんよ?
泣くことはできてもほかのことは出来なかったり、
存在価値が無いって、言われたり…
言いたくはなかったですけど、
病気だってあるし………」
そう言うと優しく困ったように笑い
「全部を含めて、
よく考えて出た結論なんだ、
笑わなくてもいつかは笑わせて見せるし、
感情だってこれからどうにでもなる。
存在価値が無いなんて誰かが言ったら殴ってやるし、
大好きなんだ、
好きだ、
やばいから、マジやばいから!!
こんなの初めてだよ…
胸が、締め付けられる…………」
恋愛感情は分からない、
でも、ここまで想ってくれているから大丈夫だろう、
私は心を決めて静かに頷き
「私なんかで良ければお付き合いを…」
そう言うと
驚いた顔をしてから
あぁ、と言いさっきとはまた別で、
もう一度抱き直した
幸せな時間は長く続かないものだ
私達はこの後のことも、
ハルトさんは私の過去のことも、
私はハルトさんに何があったのかを、
まだ、知らない………………………………………