幼なじみ。
雨がポツポツと降り出し始めた。
空は残念ながら雨雲のせいで暗く、灰色っぽい色で覆われていた。
「雨降ってきちゃったね?」
「愛雅来るのかな?・・・来なかったら電話という手段を使うしかないんだけど・・やっぱ、出来るだけ直接がいい」
愛雅、来て欲しい・・・
そう心で何回も願う。
ー ガラ
ドアが開く音が聞こえて、それに反応したあたしたちはドアの方へ視線を向けると雨に濡れたのかびしょ濡れになった愛雅が立っていた。
「あ、愛雅?」
来てくれた・・・来てくれた・・・
きてくれたその嬉しさに胸が張り裂けそうなほど舞い上がる。
「愛雅、あたし言いたいことがあるの・・・」
愛雅・・・あたしの願いは届いてた?あたしの心の声が遠くにいても聞こえてた?
「麻帆!あたし、ちょっと出るね?」
そう言って、2人きりにさせてくれたんだと思う。
ゆっくりとドアを開けて心愛ちゃんが病室から出た。
「愛雅・・・・昨日はごめんなさい!人の気持ち、一番わかってなかったのはあたしだったね?」
「・・・・」
「昨日、先生に言われたんだ。『あたしの気持ちがわからないのは当たり前だ』って・・・それは先生だけじゃなくて、心愛ちゃんも・・・・」
「・・・・」
「全部が全部わかるわけないのに・・・あたし、言い過ぎちゃったね?ほんとごめん・・・・」
頭を軽く下げて謝った。
何度も声には出さず心の中でごめん、と・・・
あたしの目の前にすっとてが伸びてきて、その手が頬を包んでくれた。温かく心地のいい手・・・・
その手が触れた瞬間、あたしは顔を上げた。
愛雅が優しい笑顔で笑ってくれていた。
「愛雅・・・・」
「なんか、久々だな?喧嘩するの・・・なんか懐かしく思えた」
面白おかしく笑う愛雅につられてあたしも笑う。
さっきまで流していた涙を愛雅の親指で優しく拭ってくれた。