幼なじみ。







「あたしはもう、陸上の舞台に立つことはないんだね?・・・よくなったとしても・・・」




「「・・・・・」」





お母さんもお父さんも黙るだけで声も頷きもしなかった。




ただ俯いて・・・・涙を流すだけだった。





「お母さんもお父さんも泣かないで?あたしは大丈夫だから・・・」





でも、お母さんもお父さんも自分を責めているように見えた。




あたしがこんな病気になったのは親のせいだ、と・・・・





「お母さん、お父さん・・・・」






「最後まで・・・・何歳になっても麻帆を陸上の世界の上で立たせたかったのに・・・ごめん、ごめんね」






あたしを強く抱きしめるお母さんの隣でただ俯いて座っているお父さん。




「お母さん・・・お父さん・・・・あたしに謝らないで?あと、自分を責めないで?」





「「・・・・・」」





「あたしがこうなったのはお母さんやお父さん、あたしのせいでもなんでもないから・・・ね?」





あたしの言葉に少しでも安心してほしくて、優しい口調で言った。




『自分を責めないで』




その言葉はお母さんとお父さん以外にもかけてあげなきゃいけない人がいた。



それは自分。




こうなったのは誰のせいでもないのに、自分ばかりを責めてしまう・・・





今日、親に話した先生の話の中で嬉しい話もあれば、悲しくて心がグダグダに壊れるような話もあった。





でも、きっと頑張れば全て元に戻るわけではないけど、ある程度は戻れるでしょ?




ガーベラの花の方を向いて答えるはずがないのに問いかけた。




だから、これからもあたしに希望を与えてね?










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