幼なじみ。
「う・・・うん。ちょっと気になって様子見てただけだから・・・帰ろ?」
「あぁ・・・・」
陸上部の様子とかを間近で見たいという気持ちを抑えた。
そうしなきゃ、走りたいっていう気持ちが溢れて、あたしの病気を恨んでしまう。
恨んだら、一生治らないような気がしたから・・・・。
だから、我慢しないと・・・
「麻帆、ちょっとくらい様子見ておいた方がいいんじゃない?」
「いいの・・・大丈夫だから」
「そっ・・・」
きっと、あたしためにと思って声をかけてくれたんだと思うけど・・・・
ごめんね?
あたし、走りたいっていう気持ちを抑えることができなくなるかもしれないからちょっと怖いの・・・・
だから、ごめんね?
愛雅がゆっくりとあたしが座っている車椅子を動かした。
教室から出て、ゆっくりと廊下を歩いた。
ほとんどの生徒がもうとっくに下校していて、校舎内はすごく静かで、部活している人の声しか聞こえなかった。
「愛雅・・・・公園寄って行こ?」
「あぁ・・・・」
あたしと愛雅が幼い頃に小さいようで大きな約束をした場所。
なぜか急に行きたくなった。
陸上部が練習しているグラウンドの横にいつの間にか来ていて、つい見てしまった。
部員の誰かと目があった。
「あ、麻帆先輩?」っと話す声が若干だけど聞こえてきた。
どんどん後輩たちが近づいてきた。