幼なじみ。
階段を上がり切った後、手伝ってくれた人にお礼を言い、去って行った。
心愛ちゃんが車椅子を広げてくれた。
あたしは車椅子に座って教室に行った。
あたしのの席に車椅子を持って行って、カバンをフックにかけた。
「心愛ちゃん・・・・ちょっとだけ話があるの。ここじゃダメだから・・・廊下来て?」
あたしは自分の力で車椅子を動かして廊下に出ようとすると、「わかった」と言ってあたろ前のように車椅子を押してくれた。
水道の近くの人通りが少ないところへ来た。
「心愛ちゃん・・・実は、あたしと愛雅。一ヶ月前くらいに別れたの」
「・・・・」
「愛雅をこれ以上不安にさせたくないしあたしのせいで傷つけたくなかった。寂しい顔なんて見たくなかった。ずっとあたしの隣で笑っていて欲しかった」
「・・・・・」
「でも、最近その温かくて太陽見たいな笑顔が見られなくなって・・・あたしのせいだと思って・・・別れたの・・・」
愛雅と別れた後悔から涙がポロポロと溢れ出して行く。
まだ、好き。
大好きなのに・・・・
自分勝手でごめんね?
こんなあたしでごめんね?
「麻帆・・・・岡本は麻帆のことがすっごく大事だし、好きだから心配したりするのは当たり前じゃん!」
「・・・」
「バカじゃないの?」
あたしの心に心愛ちゃんのきつい一言が刃物のように突き刺さってきた。
「何やってんのよ!岡本がどれほど麻帆のことが好きだったか・・・幼い頃から見てきてわからなないの?」
「・・・・・」
大切なことをあたしは・・・・すっかり忘れていた。
あたしに笑顔も幸せも与えてくれていたのは愛雅だった・・・・
「ご・・・・ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・・」
何度も謝った。
一ヶ月前くらい前の『別れよ』、という一言だけで、愛雅を傷つけてしまった。
ほんと、ごめんなさい・・・・
「謝るのはあたしじゃないでしょ?」
さっきまで俯いていた顔を上げて、心愛ちゃんを見るとさっきとは違う笑顔があった。