幼なじみ。






この日からまた、入院生活が始まった。






あたしの腕には点滴が付けられていた。






きっとこの病室から出ることはないと思う。






屋上にも行けなくなる。





階段を上がろうとすれば、また息切れをしてしまう可能性があったから・・・






「麻帆!お見舞いに来たよー!」







元気良く笑顔であたしの病室に入ってきた。






昨日のこと・・・・怒ってないの?






あたしが勝手に移動して、倒れちゃったこと・・・・








「またさ、ガーベラの花買ってきたよ!ついでにスズランも!」







スズランは幸福。
ガーベラは希望。っていう花言葉があったっけ?





「いつも、ごめんね・・・心配かけてばかりで・・・・」






「麻帆、昨日言ったばかりでしょ?謝らないの!『来てくれてありがとう』の方が心が温まる!」






心愛ちゃんは花びんを持って病室を出て行ってしまった。






この病室はこの前、あたしが入院していたところと同じだった。






今は秋ぐらいの季節だから、春とはまた違って見える窓からに景色。







赤く染まっている木を見ていると少し落ち着いた。






心愛ちゃんが戻ってきて、棚のところに花を飾ってくれた。






「麻帆」





あたしの名前を呼びながら横にあるパイプ椅子に座った。







「岡本が・・・来てるの・・・・心配だし・・・話したいことがあるって・・・」






ドアの方を見れば、愛雅が立っていた。






少し気まずい雰囲気が漂っているけど昨日、ちゃんと話すって約束したから・・・





「じゃ、ちょっとあたし抜けるね?」






そう言って、病室を出て行ってしまった。






2人だけになり、沈黙が起きる。






あたしは顔を俯いたまま、愛雅の顔を見ることができない。






「麻帆・・・」





「好き・・・・好きだよ?ずっと愛雅が・・・・でも、あたしのせいで・・・」




「麻帆、俺の話を最後まで聞け!」





震えるあたしの手をそっ握ってくれた。






久しぶりにこの温かくて大きな手に触れられたね?






この温もりがいつも、あたしを安心させる。





「俺、麻帆のために何もしてやれなかった。そんな俺が情けなくて・・・・倒れた時だって何もしてやれなかった」






「・・・愛雅・・・そんなに自分を責めないでよ・・・」







愛雅の手をぎゅっと握った。






あたしの思いを愛雅に伝わるようにぎゅーっと・・・・






「愛雅・・・・あたしもごめんね?自分勝手で・・・なんでも1人で決めて・・・」





愛雅は首をブンブンと横に振った。





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