幼なじみ。





ー コンコン。




「はぁーい!」





弱っている体のくせに、声はでかいんだよね?ってか、見た目以上に元気だし・・・




「あ、先生」





「安西さん。顧問の先生がお見舞いに来てくださってるみたいだよ?」





「顧問の先生が?」




「うん、隣にコーチもいるみたいだけど・・・」




「話したい・・・」





そういうと、先生があたしの病室から出て行ったと同時に顧問の先生とコーチが入ってきた。




あたし、病気のこと、ずっと黙っていたし・・・部活にも1年くらい行っていなかったから心配したのだろう。





「先生・・・お久しぶりです・・・」




軽く頭を下げた。




「安西、だいぶ痩せたな?大丈夫?」




「全然大丈夫です・・・」




あたしに久しぶりに会う人、ほとんどが初めに発する言葉だ。




「すみませんでした・・・先生に黙っていて・・・あたし、心配かけたくなかったんです」





愛雅にも心愛ちゃんとか、お母さんやお父さんにも・・・





ずっと同じ気持ちだった。





『心配かけたくない。迷惑かけたくない』っと・・・・・





「あたし・・・もう、走れなくなりました・・・・」





悔しい。
辛い。
悲しい。





そんな感情ばかりがあたしを襲い、涙が止まらないほど溢れ出てきた。





「あたしには夢がありました。オリンピック選手になるという・・・でも、その夢が叶えられないようになって・・・」







先生はあたしの肩を優しく撫でてくれた。






「安西・・・自分のせいだと思ってるのか?夢が壊れたこと・・・自分の体が壊れたことを・・・」





「・・・友達に『麻帆のせいじゃない!』っと何度も言われました。でも、やっぱり・・・自分をどこまでも追い詰めちゃうんです・・・」





自分ってほんと、バカだよね?って・・・





自分のせいでこうなっちゃったんだって・・・





「神様も恨み続けました。ど『うして、病気はあたしを選んだの?あたしじゃなくてもいいじゃん』って・・・でも、大切なことに気が付いたんです。病気になって色々気づくことがあるって・・・」





例えばさ、病気になって、こんなにも大勢の人に支えられてたんだ。とか・・・





友達とこんな強い絆で結ばれていたんだ、とか。




苦しさとか、死の恐ろしさとか・・・





普段過ごしている中で知らなかったこととかをたくさん知ることができたのはこの病気のおかげだって・・・・





「この花、ガーベラとスズランっていうんですけど、花言葉知ってますか?」




花びんを指差しながら言った。




「いや・・・・知らないな」




コーチも先生も首を横に振った。




「ガーベラは希望、スズランは幸福なんです!この花言葉の通り、あたしんkたくさんの幸福や希望を与えてくれました」






そう。





あたしがどんなに悔しくて悔しくて涙して心の花が枯れても、この花たちは違った。






いつまでもずっとパッと綺麗に咲いていた。




この花には感謝してる。
それをくれた心愛ちゃんにもね?






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