幼なじみ。






お見舞いに行く前に、ガーベラとスズランを買った。




麻帆に幸福と希望を与えられるように・・・って。





麻帆が入院している病院に着いて、10階まで上がり、病室に行った。






立花からバトンタッチをされて、麻帆が寝ているベッドにゆっくりと近づいた。





『じゃ、ちょっとあたし抜けるね?』





そう言って、立花が病室から出て行ったしまい、麻帆と2人になって、気まずい雰囲気が漂う。





麻帆は顔を俯かせたままで、顔を上げようともしなかった。





『麻帆・・・』





『好き・・・好きだよ?ずっと愛雅が・・・でも、あたしのせいで・・・』




別れてからの1ヶ月間。




麻帆に言って欲しかった言葉を口にしてくれたけど・・・・今聞くと・・・複雑な気持ちになる。






『俺の話を最後まで聞け!』





麻帆の言葉を遮った。




『俺、麻帆のために何にもしてやれなかった。そんな俺が情けなくて・・・倒れた時だって何もしてやれなかった』





そう言うと、麻帆が俺の手をぎゅっと握っていた。





ほんと、情けねーな?俺・・・・




『・・・愛雅・・・そんな自分を責めないでよ・・・・・』





悲しそうな顔をしながら俯いて、俺の手を温めるようにぎゅっと握っていた・・・・





ごめん。




こんな男で・・・・












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