幼なじみ。
・・・はぁ、外に出たいな・・・
なんて思いながらケータイをいじっていた。
ー コンコン。
扉をノックする音が聞こえてきた。
お母さん?それにしては早すぎる。ふとケータイの上の方に映っている時間を見ると、10:30くらいだった。
あたしは誰かもわからず「はい」と返事した。
すると、ゆっくり扉が開いて、あたしの方に近づいてきたのは、学校帰りの愛雅と心愛ちゃんだった。
「おっす!麻帆!」
「やっほー!麻帆!」
2人とも、あたしが入院している期間、毎日毎日お見舞いに来てくれている。
学校がなくてもいつも来てくれている。
「麻帆!花、萎れてきたから、新しいの買って来たから、飾っとくね?」
そう言って、新しい花と花びんを持って、出て行った。
この病室にはあたしと愛雅だけになった。
「愛雅、いつもありがとう!あのね?今日検査の日だったの。まだ結果は出てないんだけど、もし、学校に戻れたとしても、走ることは無理だろうって・・・看護師さんに言われた・・・」
あの看護師さんの言葉で厳しい現実を突きつけられたような気がした。
もう、どんなに努力したってオリンピック選手という夢は叶わないんだって・・・あの看護師さんに言われたような気がした。
「それで、あたし・・・どうしたらいいかわからなくて・・・・ちょっと歩いただけでも呼吸困難に陥る可能性があるから車椅子で生活してるんだけど・・・」
自分の気持ちをさらけ出した途端、大粒の涙が何度も何度も溢れ出した。
「なんでこんな体で生まれてきちゃったんだろうね?」
涙を流しながら、引きつった笑顔を愛雅に見せた。
でも、ただ俯いて話を聞くことしか出来ないみたいだった。
「変わってあげてーな・・・」
その愛雅の言葉に顔を上げた。
愛雅の口からあり得ない言葉が飛び交ったから・・・
「苦しいのはあたしだけじゃないんだね?」
そう愛雅に言った時、心愛ちゃんが入ってきた。
心愛ちゃんは肩をピクピクと上下していた。顔も俯いていた。