白銀のトライアングル
嘉雄は、大きく息を吸い・・・そして、吐いた。

大部屋なので、そっと頭を下げながら部屋の奥にいる友紀奈のベッドへ向かって歩いた。

「こんにちは。」

そう言いながら、嘉雄は友紀奈を見ると、

「ありがとう!」

と友紀奈がにっこりと笑って出迎えてくれた。

嘉雄は、気の聞いたものではなかったが、持ってきたジュースを友紀奈に渡した。

「本当は、花でもと思ったんだが、今どきは病院に花はダメなんだな!」

と嘉雄が言った。

「ううん、嘉雄さんが来てくれて嬉しいから。それに、母から聞いたわ!」

と友紀奈が言うと、嘉雄は急に顔が赤くなった。

「えっ?聞いたって?」

嘉雄は、動揺した。

そう、友紀奈はどこまで聞いたのだろうかと思ったのだった。
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