白銀のトライアングル
「実はさ、先輩と賭けをして負けたんだよ・・・

だから、今日はおれの奢りのはずだったんだけど・・・

お金置いて行っちゃったし・・・」

と歯切れ悪い一樹に珍しく嘉雄が、

「俺らって、いけてない?」

「ハハハ!!!」

思わず二人は笑わずにはいられなかった。

「お前も何を賭けてたんだよ!」

と嘉雄が言ったが、一樹は答えなかった。

「どうせ、馬鹿かと思うさ!」

とだけ一樹が言ったら、やっとタクシーが来たのだった。

二人は一緒に乗り込んで、帰って行った。

「本当に今日は最後まで上手くいかない一日だったよな!

あげくに、帰りは男同士になるし・・・

普通なら行きは男同士で帰りは男と女だろう?

今日は、全く逆になってしまったよ!」

と一樹がポツリと喋っただけだった。


タクシーは、雪の中をどんどん目的地に向かって走って行った。
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