光ちゃん
帰省
私はお盆休みに故郷の実家に帰っていた。
「ただいま~」
玄関を開けると、両親が玄関先まで出迎えてくれた。
「おかえり、佐希子」
「ふぅ…ただいま。悪いんだけど、先に光ちゃんのところに行ってくるね」
私は荷物を置くと、ろくに会話もせずその足である大切な人の家へと向かった。
呼び鈴を鳴らすと、出てきたのはその人のお母さんだった。
「あら、佐希子ちゃん!来てくれたの?ありがとね…光一も喜ぶわ…」

私は高校を卒業すると、大学に進学するために上京した。今では大学も卒業して就職している。一人っ子の私は、たまには田舎に帰って両親に顔でも見せようと思っていたが、今まで一度も帰らなかった。しかし、今年は絶対に帰ろうと思っていた。帰らなければならないと思った。

久しぶりの実家。みんなで囲む食卓。無論、東京では一人暮らしなのでこういう家族の温かみが嬉しい。
「光ちゃんのお母さん、元気だったね。私たちも昨日行ってきたのよ」
「うん。光ちゃんともいっぱい話してきたよ…後でちょっと散歩してくるね」
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