光ちゃん
バス停
「佐希ちゃん、俺の方こそごめん…あの時…靴、片っぽしか見つからなかった…」
「何言ってるの…そのせいで…私のせいで光ちゃん死んじゃったんだよ!」
「ごめんな…」
「…光ちゃん、昔と変わらないよね…」
しばらく沈黙が続いた。
「これでおしまいだよ」
最初に口を開いたのは光ちゃんだった。
光ちゃんはそう言うと、最後の線香花火に火を着けた。そして全部の花火がなくなると光ちゃんは静かに言った。
「そろそろ帰らないと…」
「帰る…?」
「うん、そろそろバスが来るから…」
私は光ちゃんとともにバスの来る場所まで向かった。
「ここ…?」
それはあの木の下だった。
「…そろそろバスがくるはずなんだ」
私は何を話していいのかわからず、無言のままだった。
「私…」
言いかけた途端、言葉を遮るかのようにバスがやって来た。
< 5 / 7 >

この作品をシェア

pagetop