悪魔な秘密の巫女男子

正直ーーー
休みすぎて学校に来るのも一瞬ためらった。

圭吾の明るさには心底すくわれる。


他のクラスメートもわらわらと寄ってくる。
大丈夫ー?とか
何の病気なの?とか

あぁ、日常だな。



ふっと笑いが込み上げる。

「ほれ、朝日。
 宿題もたまってるぜ?」

「えー、それはヤダな。」

あははと笑って圭吾が 数枚のプリントを差し出す。

僕も、はははと笑って受け取ろうと手を出す。


左手でプリントを受け取って
ぴくっと動きが止まる。


時計で誤魔化しているが
細いシンプルなデザインの緑の腕輪。


退院のとき
渡されて、びっくりしたが これが唯一の『あの世界』に
行っていたという証だろう。


水の守護師が施した
背中のタトゥーのような文様もなくなっていたし。


まだ 頭では理解しかねるが
実際に体験したしな。

なんだかんだで楽しかったし。




とりあえず
目の前のプリントを受け取った。


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