四十九日間のキセキ
「ごめんな、あまり長くはいられないんだ、看護師さんにも長居はしないようにって言われているからな」

その言葉にがっかりするものの、素直に受け入れる紗弥加。

「分かったわ、連れてきてくれただけでも充分。こんなきれいなツリーが見られただけでもよしとしないと」

「じゃあ帰るか」

孝之は一言言うとエレベーターに乗り紗弥加の病室へと向かって言った。

「ごめんな少しだけしか見せてあげられなくて」

「良いって言ったじゃない。あたしは見ることができただけでも充分て言ったでしょ」

「そうだったな」

その後病室に着いた紗弥加は孝之の手伝いによりベッドに寝ると、この日疑問に思っていたことを尋ねる。

「ねえお母さん、今日は一言もしゃべってないけどどうしたの」

ここでこの日初めて口を開く香織。

「何でもないわ」

香織がひと言だけ言うと、そこへ孝之が説明をする。
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