四十九日間のキセキ
香織が帰宅するとすぐにそのことを孝之にも告げる。

「ただいま」

「おかえり母さん」

「お父さん話があるの」

「何だ話って」

「今日帰りがけに佐々木さんから声をかけられて」

「佐々木さんて紗弥加の担当看護師の佐々木さんか?」

「そうよ、その佐々木さん」

「その佐々木さんがどうしたんだ?」

「佐々木さんに言われたんだけど、明日先生からお話があるからお父さんも一緒に来てほしいそうなの」

「そういうことか、じゃあそうしよう。話って何だろうな?」

 翌日二人は不安な思いを胸に病院へと向かった。

相談室で待っていると二人のもとに主治医の坂本がやってきた。

「お待たせいたしました」

「いえとんでもありません。それよりお話とは何でしょう?」

孝之が尋ねるとこの日二人を呼び出した理由を告げる坂本。

「お嬢さんの事なんですが先日から発熱が続いていたため検査を行いました。その結果白血球の減少が見られました。もちろんそのための治療もしていきますがこのまま減り続けると肺炎や敗血症の原因にもなりかねません」

「そうなってしまったらあの子どうなるんですか?」

不安な思いで坂本に尋ねる香織。
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