四十九日間のキセキ
「今眠っているから大丈夫よ」

「そうですか、分かりました」

朝陽が応えると一階のカフェへと向かう三人。 カフェへと着くと待ちきれないとばかりに葵が尋ねる。

「それで紗弥加の様子はどうなんですか?」

「あの子ね、このところ発熱が続いているのよ。抗がん剤の副作用なんだって」

「よくなるんですよね」

朝陽が尋ねるが彼らが期待する応えは帰ってこなかった。

「治療はしているけど効果が出ていないらしいのよ。これが悪化すると肺炎などになって命に係わるそうなの」

「どういうことですかそれ。それじゃあ紗弥加はどうなっちゃうんですか?」

葵の叫ぶような言葉であった。

この日は仕方なく家に帰った二人。その夜朝陽は隼人に電話をかけていた。

『もしもし朝陽かどうした?』

隼人が尋ねるがその声は重く沈んでいた。

「隼人か、今日紗弥加の所に行ってきたんだが、ずっと面会謝絶なの知っているか?」

『この前行った時会えなかったけど、まだそうなのか?』

「そうなんだ、それで今日おばさんに会えたから話を聞いてきたんだけど、抗がん剤の副作用で発熱してずっと下がらないらしい」

『ずっとって今までずっとか?』

「あぁそうだ。このままいくと肺炎などにかかって命の危険もあるそうだ」

その言葉にひどく驚いてしまう隼人。
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