四十九日間のキセキ
【第十九章】『突然の再会』
紗弥加が旅立ったそのころ。この日彼は仕事の帰り道駅から自宅に帰る途中誰かに声をかけられた。

「拓海、ねえ拓海じゃない?」

彼を呼ぶその声色は若い女性の物であり、拓海はその声に聞き覚えがあったが何故今頃になって彼女が現れるのだろうと疑問に思っていた。

そのように思いつつもそっと振り返ると、そこには拓海の予想通り元カノの紗弥加が立っていた。

(彼女と会うのは随分久しぶりだな、俺が彼女に振られてからと言うものもう随分と会ってない気がする。それもよくわからない振られ方だったな、あれだけラブラブだったのに突然別れを切り出されてすごく混乱したのを覚えている。でも何だろう、どことなく雰囲気が以前と比べておかしいのは気のせいだろうか?)

その時再び紗弥加が声をかけてきた。

「拓海どうかした?」

「あっ! ごめんなんでもない、突然の事でちょっと驚いただけだ」

「そうね、驚かせてごめんなさいね。ところで拓海突然こんな事言ってごめんね、自分から振っておいてこんな事言うのも自分勝手だと思うけどあたしたちもう一度やり直せないかなぁ?」

そうは言うものの紗弥加の願いは違うところにあった。
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