四十九日間のキセキ
「なあ紗弥加、なんかお前といると周りからの変な視線感じるんだけど」

「そう? 気のせいじゃない」

気にも留めないと言った様子の紗弥加。

しかしそんな拓海の疑問の声にもとぼけて見せる紗弥加であったが、当の紗弥加にはそれがなぜなのか分かっていた。

紗弥加が知らないと言ったため拓海も気にしない事にし、二人でのデートを楽しむことにした。

そんなある日、この日もいつもの様に二人でデートに臨んでいたのだが、この時の拓海の様子はいつもと違っていた。

緊張の面持ちで車を運転する拓海に対し心配そうにそっと声をかける紗弥加。

「ねえどうしたの拓海、今日は様子が変よ。どこか具合悪いの? もしそうならデートなんかいいからもう帰りましょう」

「心配ありがとう紗弥加、でもほんとに大丈夫だから。そんなんじゃないから心配しなくて良いよ」

「ほんとに大丈夫なの? もし具合悪いならほんと今日は良いのよ、デートなんていつでもできるんだから」

「だから良いんだって、ほんとにそんなんじゃないんだから」

「ほんとに、ほんとに何ともないの?」

「ああなんともない、だからもう心配するな。悪かったな心配させてしまって」

「ううん、拓海の身体がなんともなければそれで良いの」

「ありがとう心配してくれて」
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