四十九日間のキセキ
「それで紗弥加からの遺言で、四十九日を過ぎたらすべてを拓海君に伝えてほしいと言われて、それで君に連絡したんだ」

この時拓海の頭の中に一つの疑問が生じた。

「待ってください、紗弥加が僕の下からいなくなった後何度かこちらに電話をしたとき、お義父さん方は居場所を知らないと言いました。それも嘘だったんですか？」

「済まない拓海君。娘からどうしても黙っていてほしいと言われて、それで仕方なく嘘を付いてしまった」

「何故そんな事をしたんですか、一度は結婚を約束した人の最期を看取れないなんてこんなつらい事がありますか」

「ほんとに済まない、娘がどうしてもというもんでな」

（だけどそれなら今まで俺と会っていた紗弥加はなんだったんだ）

そんな疑問が拓海の頭をよぎった。

「でも待ってください、先日まで僕たち一緒にいましたよ」

「そんなはずはない、さっきも言った通り先日四十九日法要を終えているんだ」

「でも一緒に暮らしていました。だけどちょうどお義父さんから電話があった数日前です、仕事から帰ったら突然紗弥加が消えてしまって、色々さがしましたが見つかりませんでした」

「私が拓海君のもとに電話をかける前日の事です、ちょうど四十九日法要を行ったのは」
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