四十九日間のキセキ
「望月君お願いがあるの。毎日とは言わないわ、手が空いた時にでもあの子の話し相手になってあげて」

「そういう事なら分かりました。できる限り来てみましょう」

「ありがとう望月君」

 ここで父親の孝之も礼を言いつつ隼人にあることを尋ねる。

「すまないね望月君。それはそうと望月君はどうしてこんなところにいるんだ?」

「僕ですか? 僕は親知らずを抜きに来たんです。行きつけの歯医者では対応できないということでここの口腔外科に来ました。今終わって会計を待っているところです」

「そうだったんだね。だからかな、さっきから何となく話し方がおかしい気がしたのは」

「やっぱりそうですよね。すみませんお聞き苦しくて」

痛みを感じつつもぎこちない笑顔を浮かべながら言う隼人。

「気にすることないよ。仕方ないじゃないかそういう事情では」

「ありがとうございます」

その時会計から隼人の名前を呼ぶ声がした。

「名前を呼ばれたのでこれで失礼します。必ず見舞いに伺いますので」

「ありがとう。望月君もお大事に」

「ありがとうございます」

隼人が再び礼を言うと奥山夫妻と隼人は分かれた。
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