四十九日間のキセキ
その数日後、約束通り隼人が紗弥加の見舞いに訪れた。

「久しぶりだな紗弥加、元気にしているか?」

「もしかして哲弥? どうしたのよ突然。どうしてあたしがここに入院しているってわかったの」

「この前ここに親知らずを抜きに来たら外来の待合室でお前の両親に会って、お前がここに入院しているって聞いてびっくりしてよ、それでお前の両親に見舞いに来て話し相手になってやってほしいって言われてそれで来たんだ」

「そうなんだ。ごめんね両親が変なこと頼んで」

「何言っている、良いんだよそんなこと気にしなくて。久しぶりに俺もお前に会いたかったんだから」

この時紗弥加も懐かしい人物に会えたことで嬉しさが込み上げていた。

「ところで隼人は今何やっているの、やっぱり実家の旅館で働いているのかな?」

「そうだな、ゆくゆくは俺が実家を継ぐことになるから今は手伝いながらいろいろと勉強している」

「そうなんだね、それなのにこんなとこ来ていて大丈夫なの?」

 隼人の仕事を気遣う紗弥加に笑顔を浮かべ応える隼人。

「大丈夫だよ少しくらい、お前はそんなこと心配するな」

「それならいいけど」

今度は隼人が紗弥加のことを尋ねる。

「お前の方こそどうなんだよ。この前のおばさんの話だと見舞いに来るのはおばさんたちだけだって言っていたけど彼氏とかいないのか?」

その問いかけに突如俯いてしまい、寂しそうに応える紗弥加。
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